電子ピアノのタッチについて その2

  • 2007.02.14 Wednesday
  • 02:02
その1で、
電子ピアノを使う生徒の手がふにゃふにゃなのは
鍵盤の物理的な重さのせいではないと書きましたが
そのことについて書いていきます。

ピアノは、脱力して音を出すことがとても重要とされます。
肩や腕、手や指が緊張した状態ではいい音が出せません。
肩先から力が抜け切った状態で出る音は
とても抜けがよく、よく通り、よく響きます。
ピアニストは、フォルティシモの音が欲しいとき力を入れるのではなく、
逆に力を抜くことで、力強く温かみのあるフォルティシモの音を得るのです。
グランドピアノには長い弦が張ってありますが、
あの弦の遠くまで、音の波がゆきわたるようなイメージです。


電子ピアノの鍵盤ユニットはピアノの鍵盤をごくごく簡素化したもので
もちろん弦は張ってありません。
鍵盤の下部に2点ないし3点のセンサーがあり、
点の間の速度を計算して発音します。

たとえば、2点間の打鍵のスピードが遅ければ
"鍵盤がゆっくり沈む=小さい音"として認識・発音、
打鍵スピードが速ければ"鍵盤がはやく沈む=大きな音"として発音されます。

打鍵のスピード、またはセンサーの感度によって
幾種類もの発音パターンが算出され発音されるわけですが
あくまで出音を決めるのは点間のスピードのみ。
生ピアノでは、指のどの部分で弾くか、どの角度で弾くか、によって
本当に微細に音が変わりますが、電子ピアノではそこまでの再現はできません。

生ピアノでは脱力して発音すると
鍵盤の底についたときの衝撃も音にして瞬時に逃がすことができるのですが
(言葉での表現が難しいところですね・・・)

電子ピアノでは、生ピアノのように脱力して弾いても
抜けの感覚が音として伝わってこないため
ゴツッとした底衝きの衝撃のみが指先に残ります。
(単純に"大きな音"が出ます)


ショパンコンクールで入賞したピアニストが電子ピアノで演奏するシーンを見聴きする機会があったのですが
"美しい電子音"とともに聴こえてきたのは、ゴツゴツいうアタックノイズでした。
比較的大きめのホールでしたが、けっこう激しくノイズが響いており
「ゆび痛そう・・・」とわたしはそればかり気になってしまいました。

自分自身、コンクール前どうしても電子ピアノでしか練習ができず
指を痛めてしまった経験がありますし(病院に通って本番前にはどうにか治しました)、
友人のピアニストやピアノ教師仲間でも電子ピアノを1〜2時間弾いただけで指が痛くなったという人がいます。
脱力ができていればいるほど指を痛めてしまう結果になることがわかります。

それ以来、自分は電子ピアノを弾くときは
少しの力で音が出るようにキータッチを「軽い」に設定し
余分な力を入れないようにして弾いています。

--

少し話がそれてしまいましたが

家での練習楽器が電子ピアノの子どもは
練習すればするほど電子ピアノ向きに最適化された弾き方になってしまいます。

つまり、底衝きの衝撃を避けるための
反射的なこわごわとした弾き方が身についてしまうのです。

多くの子どもを長期に渡って見ていますが
電子ピアノを使っている生徒の手がふにゃふにゃなのは
鍵盤が軽いせいではなく
衝撃を避けようとする反射神経によるものだと考えています。

実際、生ピアノの2倍近い初荷重のかなり重いタッチの電子ピアノを使っている生徒でも
"ふにゃふにゃ"はなかなか直りません。
重いタッチの鍵盤では指を衝撃からかばおうとする自然な反射が働き
かえって筋力はつきません。

電子ピアノでは、鍵盤の重さよりも、演奏感・弾き心地が重要なような気がします。

--

その3では「キータッチ調整機能」について書きます。

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